
バラの品種は全世界で2万種類以上あるといわれています。
日々品種改良をされ次々と出てくる新品種の中から、市場に人気のあるもの、特徴的なものを選抜し1000坪のハウスで栽培しているのが東谷園芸の高須賀年男さん(39歳)です。
バラづくりへの想いと、今後の目標などについてお聞きしました。
父の開発した特許技術と細やかな栽培技術で、市場で人気の高いバラを生産
“色鮮やかで日持ちがよい”と全国の生花店から定評のある東谷園芸。約60種類もの“東谷ローズ”を父親の高須賀朝三さんから受け継ぎ、栽培と経営を仕切っているのが年男さんです。
朝三さんは“アーチング栽培法”という特許技術を開発したことでも有名な方。アーチング栽培法は、バラの花を取る枝以外の枝をアーチのように下に曲げる栽培方法で、株元によく日があたることで、たくましい新梢が発生し、高品質のバラが育ちます。
この技術で栽培を行いながら、年男さんが気を配っているのが湿度と病害虫対策。茎が太く長いものを栽培できるよう、日々の研究も重ねています。

“剣弁高芯咲き”の品種栽培にも力を入れています。花弁が外側に反り返り先が尖った形になる“剣弁型”と、花芯が高いことで花の中心部が長く花芯を包むように咲く“高芯型”を併せ持った品種はモダンローズ(現代バラ)の基本形ともなっており、市場でも定番の人気があります。
年男さんは剣弁高芯咲きのピンクの大輪“タージマハル”で愛媛県知事賞を受賞しました。
“より市場に喜んでもらえるものを” 品種の絞り込みで質を向上させる
個人的にはちょっと変わった品種の栽培が好きなんですけど。
そう言ってハウスの中で見せてくれたのがエキサイティングメイアン。バラの花びらの中から、またバラの花がのびてくるという一風変わった品種です。
ハウスの中は夏は40℃くらいになる日もありますが、冬場は18℃を切ると加温します。こうして1年で5~6回転の栽培が可能となります。
これらのバラを花卉市場や園芸会社に直接販売をしてきました。

バラ栽培は一年365日間お休みはありません。
今後は一つ一つの品種の質をより向上させるために、市場で人気の高いスプレーバラ(一つの茎に小枝が密集したタイプ)を中心に40種類程度まで絞っていこうと考えています。
より市場に喜んでもらえるバラを今後も栽培していきたい。
新作物にもチャレンジ。薬草も“花”の視点で見てみる。
今チャレンジしているのが、薬草ミシマサイコの栽培です。JAの農業指導員から薬草栽培のことを聞き、東温市内の重信地区では栽培実績もあるなら、ここ川内地区でも栽培してみようと2015年から取り組み始めました。
取材にお伺いしたちょうどこの日に、家族や近所の方、ご親戚の方などが集まり一斉にミシマサイコの収穫を行っていました。

草取りが大変だということが、栽培1年目でわかりました(笑)。
ミシマサイコは薬草ではあるのですが、可憐な黄色い花は切り花としても販売できるのではないかと実感しました。
来年は切り花としても売ってみたいと考えています。
ユリ栽培の農家から栽培技術を学び、2014年からは新テッポウユリの栽培も始めました。バラにとどまらず、新しい作物にもチャレンジしていますが、やはりバラに対する想いはひとしおで、地域の養護施設等でフラワーアレンジメント教室を奥様と一緒に開くなど、バラの楽しみ方を積極的に提案しています。
花をやっているうえに新しい作物も手掛けると本当に忙しく、家族に寂しい想いをさせたり作業も手が回らないこともありますが、こうしてすぐに寄ってきて手伝ってくれる人に感謝しながら、今後も励んでいきたい。
今年ミシマサイコの収穫が少々遅れてしまったため、種を落とさないように収穫するのが大変だったといいます。“これも経験”と。
今後もひとつひとつの経験を大切にし、東谷園芸を前進させていきます。
生産者名 | 有限会社 東谷園芸 高須賀 年男さん |
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生産品目 | <農産物>バラ、ユリ、ミシマサイコ |
住所 | 〒791-0311 愛媛県東温市則之内甲45-1 TEL /089-966-3994 |